今回は実際に過去に所有してきたモデルを取り上げていきます。
結論から言うと私のアニソン用オーディオの結論構成は以下
PC → AK HC2 (DAC) → nobunaga labs 澪標 (ケーブル)→ JVCケンウッド HA-FD01(イヤホン)
何故この構成に行き着いたのかを、使用してきたイヤホン・ヘッドホンに触れながら書いていきます。
アニソン向け駆動方式 最強決定戦
私はアニソンオーディオを追求する上で イヤホンならダイナミックとバランスド・アーマチュア。ヘッドホンなら密閉型と開放型と言うように、各駆動の定番モデルを購入してどの駆動方式が最も良いのかを比較することにしました。
私が求めるのはこの4点
- 如何に女性ボーカルを美しく表現できるか
- シンセの音など楽器の音のキラキラ感
- ボーカルは近めだが音場は広めで広がり感を重視
- 使い勝手
普段はアニソンの中でも特にエロゲソングをよく聞きます。楽器のキラキラ感はfripSideの音楽をイメージしてもらえると分かりやすいかも
この条件を満たす製品を求めて予算3万前後(1台当たり)イヤホン・ヘッドホンで各2種類づつピックアップして研究をすることにしました。(予算の都合上平面駆動やコンデンサ型は除外)
開放型ヘッドホン AKG K712pro
開放型ヘッドホンという単語を初めて聞く方に向けて軽く説明をすると
開放型ヘッドホンのメリット・デメリット
- 外側に穴が開いていて音のヌケが良い(聞き疲れしにくい)
- 音場が広い
- 音漏れしまくる
- 低音には不利
開放型といえばK700シリーズは定番ですがその中でも高かろう良かろうでK712に。ちなみにaudio technica のAD1000Xと迷ったのですが、1000Xはリケーブルできないので断念。リケーブルはonsoのhpcs_01_ub3x_120を使用
K712の評価
- 音質
評判通り音場は広く聞き疲れはしにくい。音域はフラットだが高音寄り。加えて開放型の割には低音もしっかり出るが、如何せんキラキラ感という点では物足りない。はっきり言って好みの音ではない。この段階で私は自分には弱ドンシャリくらいが好きであることに気付く。
- 使い勝手
これが何と言っても良くない。このヘッドホンは真の実力を発揮するためにその価格以上のアンプを必要とします。勿論DACやアンプの必要性は理解できますが、FostexのHP-A4やDenonのDA-310では全く力不足だと感じました。(DA-310はパワーは足りているが、デジタルチックな音なのでK712の世界観とは相性が悪い)恐らくHP-A8mk2レベル(約10万)が必要と判断。「3万で買えるのはコスパ高杉」という意見を見たことがある。確かに潜在能力は高いが、性能を引き出すために倍以上の値段のアンプ必須なのは価格的に厳しい。製品としてはとても良いので、予算が潤沢で音が好みであるという方には良いと思いますが、私には合わないと感じました。またモニターヘッドホンなので良さが分かるまでに少し時間がかかる。見た目はとてもかっこいい。
女性ボーカル ★★★★☆
キラキラ感 ★★★☆☆
音場 ★★★★☆
使い勝手 ★★☆☆☆
密閉型ヘッドホン audio technica ATH SR9
K712の反省を生かしてドンシャリサウンドで評判の良いSR9を選択。一応ポータブル用なのでアンプパワーも気にする必要がない
SR9の評価
- 音質
高解像度だが刺さらないギリギリまでボーカルが伸びる。加えて密閉型のメリットでもあるアタック感もあり、低音も必要十分出ている。正にドンシャリの理想的な音。純正リケーブルのHDC113Aに交換すれば更に音が洗練される。しかし、アンプに合わせると元の音のバランスが崩れて高音が刺さってしまう。ヘッドホン単体の完成度が高すぎる故の悩みであると言える。
- 使い勝手
密閉型なので夏場に汗をかくような場面ではとても気を遣う。イヤーパッドが交換可能なので最悪使い潰しても問題ないが、ケーブル込み4万なので精神衛生上良くないです。ケーブルの規格がオーテク独自のため互換性は下がるが、端子の強度がmmcxに比べて高く独自規格がむしろ長所であると感じた。アンプと合わせることを考えると、前述したK712と対極にあるような製品。ドンシャリ好きで「アンプにまでお金をかけたくない」という方には超オススメできる素晴らしいヘッドホン。
女性ボーカル ★★★★★
キラキラ感 ★★★★★
音場 ★★★★☆
使い勝手 ★★★☆☆
バランスド・アーマチュア型イヤホン QDC Neptune
正直FinalのHeaven VIが欲しかったのですが、既に販売終了の為こちらを購入。リケーブルはLuminox AudioのBooster Blue(4.4)とWAGUNUSのWater Lily(3.5)を使用。雲母をあしらったイヤホンにWater Lilyの組み合わせはとても映える。見た目はとても美しい
Neptuneの評価
- 音質
評判通りBA型特有のボーカルにフォーカスした音。価格ドットコムのレビューである方が「ゴムをピンと張ったような音」と評価していたが不思議と納得。しかし、長時間使用する内に後述のFD01と比較すると、コスパはそこまで良くないと感じました。Booster Blueだと低音が前に出すぎて売りのボーカルが目立たなくなるので、正統進化させたいならWater Lilyの方が良い。
欠点としてBA一機なのでボーカル以外の表現はパッとしない印象。しかし純正でも低音は結構頑張っているとは思います。このイヤホン、「女性ボーカルが美しい」はその通りなのですが、どちらかというとバラードが得意なイヤホンで、アタック感重視なら微妙です。White Albumの名曲、水樹奈々さんの「ガラスの華」を聴くときはNeptuneが最強。
- 使い勝手
装着感はとても良い。シュア掛けできるのも高評価で、QDC端子(旧UE)もmmcx端子より遥かに安定していて満足。外に持ち出すことはありませんが、タッチノイズも少ないので総じて使い勝手はとても良い。ただ感度が高いので中低音域にフォーカスしたパワフルなDAPとは相性が悪いかも。
女性ボーカル ★★★★☆
キラキラ感 ★★★☆☆
音場 ★★★☆☆
使い勝手 ★★★★★
ダイナミック型イヤホン JVCケンウッド HA-FD01
実は初めて買った1万円以上のイヤホンはFD01の廉価版のFD02で、私をオーディオ沼に沈めたイヤホンの兄貴分に当たるのがこのHA-FD01である。
廉価モデルとの違いは3種のノズル交換ギミックにより、音の調整が可能な点(FD02はステンレスノズルで固定)とワンランク上の純正ケーブルが付属する点。
FD01の評価
- 音質
高解像度だが高音が刺さらないギリギリを攻めてくる。この点はSR9と似ているが、低音は控えめで音域的にはフラット~弱ドンシャリという感じ。SR9よりマイルドでアタック感も当然あるがバラードを美しく奏でることもできる両刀タイプ。ノズル交換もチタンにするとモニター寄り、真鍮では柔らかいバラード寄りの音に変化するので面白い。
nobunaga labsの澪標(篝火)にリケーブルすれば更にボーカルは柔らかく、耳の近くで鳴りながらも純正ケーブル以上の音の伸びをするようになる。イヤホンの特性上ヘッドホンより耳に近いところで音が鳴るので、女性ボーカルが刺さるか刺さらないかのギリギリを耳元でドライブしていくのが最高に気持ちいい。鼓膜を掠りながら音が流れて来る様な体験ができる。唯一ChordのMojoと組み合わせた時だけ音が暴れて使い物にならなかったが、基本どんなDACやDAPにも適応する素直さも持ち合わせている。
- 使い勝手
装着感は悪くはない。一応シュア掛けもできるがNeptuneには敵わない。別途購入したイヤーピースのスパイラルドット++が耳にしっかりフィットするので装着感は不満なし。一方リケーブルした際にmmcx端子があまりにも緩く、結合部が自重でポロポロ取れてしまうのが最悪でした。これは個体差の可能性もあるので少し甘めに評価することにします。
→私の確認不足でmmcx端子を押し込むと、カッチリと結合できることが確認できました。訂正してお詫び致します。(2022年11月3日)
ノズル交換のために部品数が増えているので多少剛性に不安はありますが、それはFD02を選ぶことで解決できるので殆ど無視できるでしょう。一点だけマイナスポイントを挙げるとすると、筐体が金属の為長年使用しているとさびが表面に少し発生します。(ティッシュなどで取り除くことが可能)
女性ボーカル ★★★★★
キラキラ感 ★★★★★
音場 ★★★★★
使い勝手 ★★★★☆(訂正後)
まとめ
夏場でも使用できる点などから、音が好みであるD型イヤホンのHA-FD01(澪標)が最高のアニソン向けイヤホンであると私は結論付けました。FD01超オススメなので、機会があれば皆様ぜひ視聴をしてみて下さい。
ところで以前「バランス接続よりアンバランス接続の方がボーカルが好みである」という内容を書きましたが、実はDACのAK HC2が4.4mmバランス端子しか搭載していなかったので澪標を採用しています。(pee51が買えなかった)
今回はDAPやアンプ(DAC)にあまり触れることができなかったので、また別の機会にそれらは取り上げたいと思います。
今回挙げさせて頂いたモデルはとても数少ない物ではありますが、この記事が少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。(ご購入前には試聴をお願いします)
ここまで読んで頂きありがとうございました