【WHITE ALBUM2】「届かない恋」から見る原作とアニメ版の違い

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突然ですが皆さんはアニメWhite Album2と原作の違いを挙げるとした場合何を考えますか?

作画やサントラ更には尺等様々ですが、実は「届かない恋」に関わる点で大きな違いが存在します。今回はこの届かない恋を通じてアニメと原作の違いについて独断と偏見で考えていきます。

(皆様の感想等コメントに書いて頂けると有難いです。)

以下本文。

第7話 最高の、最後の日

ズバリどこが違うかですが、雪菜が初めて届かない恋の歌詞を見た際の反応に大きな違いがあります。

原作では

「届かない恋」の制作を雪菜抜きで行っていた

→ 雪菜が曇る(仲間外れ)

→ かずさが「届かない恋」の歌詞は雪菜をイメージして描いたとフォロー

という流れだが、アニメ版では歌詞(春希がかずさを思って書いた)に対し「これって......」と疑う描写が存在する。

「届かない恋の歌詞が誰を想って書かれているか」で雪菜とかずさのパワーバランス、もっと言うと罪の重さが変わるためこのシーンが持つ意味は非常に重要であるといえます。

届かない恋 at Campus Fes アニメ版と原作版の違い

先述した歌詞が誰に向けて作られているか(気づいているか)が歌い方にも現れています。

両者の違いが顕著に出ているのは1番の入り「孤独な~」である。この「孤独なふりをしてるの?何故だろう気になっていた」はかずさを指すフレーズです。アニメCampus版ではこの部分がより寂しげに歌われている様に感じました。

よってアニメ版の届かない恋は雪菜がよりかずさの存在を意識して歌っているという事が言えます。原作版は「今はライブに集中すべきだし楽しもう」という気持ちも感じ取れるし、後のClosing Chapterで雪菜がかずさを忘れられない春希と衝突する為か、やはりキャラクターの心理変化に時間的余裕があるように感じました。メタ的には尺の都合上わかりやすく描写されているのですが、この違いはそのまま「届かない恋」の歌い方に上手く乗っています。

纏めるとアニメCampus版はより雪菜がかずさを意識する感情が歌い方に反映されているという事です。極端に言えばアニメ最終回の人格の雪菜が歌っているとも感じられました。

かずさと届かない恋

ここでは原作で何故かずさは「届かない恋の歌詞が雪菜をイメージして書かれた」と言ったかを考えていきます。

これは単なるフォローとして発言した&春希に好意を寄せる雪菜が喜ぶ様に言ったと思われますが。

このタイミングでは春希の好意に気づいていないので、本気で届かない恋が雪菜を想って書かれたと仮定します。

仮にかずさ視点で届かない恋が春希 → 雪菜で作られていたとするなら

孤独なふりをしてるの?→ 中学時代に仲間外れにされ壁を作るようになった雪菜

初めて声をかけたら振り向いてくれたあの日 → 学園のアイドル小木曾雪菜

この様な解釈もできなくもない。(それでもかずさを連想させる要素が多すぎる)

Introductoryで春希が付属祭でステージに出たいと言い出した際、当初かずさが「お前らしくない・理解できない」と発言していた為、春希がステージをやりたい動機が雪菜にあると考えたとするなら筋が通ります。

よってかずさにとって届かない恋が春希が雪菜を想って書いた曲(勘違い)という意味を持っている可能性が考えられる。

ただ当のかずさ版の届かない恋は恐らくCodaを想定して歌われているのが少し引っ掛かる。

White Album2 Original Soundtrack kazusaのジャケ写を見るとこのイラストではビル群をバックにかずさがマフラーを着用しています。そして作中CGを確認するとこれはCodaのかずさであると推定できる。(Introductory Chapterかずさのマフラーは白色に近い事。制服ではなくジャケットを着用していることから)

もしかしたら雪菜のマフラーという可能性もあり。

Soundtrack kazusaの一曲目であることからも、届かない恋(冬馬かずさVer)はCodaのかずさをイメージして作られていると思います。同アルバムのAfter All~綴る想い~,Answer,closingに比べて悲壮感を込めた歌い方がされていないことからかずさ√突入前の人格で歌われていると思う。(かずさ√を象徴するのがClosing)

よってかずさにとっての「届かない恋」はIntroductoryでの身動きが取れない焦りとCodaでの「高校時代を顧みて懐かしい気持ちを抱きながらも雪菜への罪悪感が残る」という二つの解釈が可能です。

余談ですがSoundtrack kazusaのSOUND OF DESTINYを楽しそうに歌っているのが良かったです(かずさは緒方里奈派)

まとめ

やはりこうして見ると「届かない恋」は雪菜が歌う曲だなとよくよく思います。(雪菜が歌うことで曲が持つ意味が大きい)

White Album2は高校生編、大学生編、社会人編という期間でキャラクターの心理描写が重厚に描かれているのが魅力です。またそれに合わせて「届かない恋」も歌い手やアレンジが加わっていく。

よってどのルート、どの瞬間の人格が曲を歌っているんだろうと想像するのも楽しいです。

例えば千晶は軽音楽同好会の当事者ではありませんが役者として3人に対する理解度はとても高いものがあります。本当に私の個人的な意見ですが千晶Verは雪菜を模した雪乃の曲というよりは、観客に向けて物語を伝える状況説明的な印象を感じます。

入りの「孤独な~」が「昔々ある所に」のような観客に向け雪乃(雪菜)、和希(春樹)、榛名(かずさ)の物語を語りかけるナレーターのように感じました。

また作者繋がりで霞ヶ丘詩羽Verのカバー等、シナジーがあるのも面白いところです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。